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鍛造製法と鋳造製法、丈夫さが大きくかわる結婚指輪の製造方法⑥

2018年1月4日指輪

鍛造製法と鋳造製法、丈夫さが大きくかわる結婚指輪の製造方法

■製造法で大きく変わる指輪の強度

これはほとんどの方がご存じないことなのですが、指輪はその製造方法によって、仕上がりの耐久性がまったく違ってきます。その製造法とは「鋳造(ちゅうぞう)法」と「鍛造(たんぞう)法」で、さらに鍛造法は主に機械を使って成型していく「型鍛造」と、熟練の職人がすべて手作業で仕上げる「自由鍛造」とに分類されます。ここからはそれぞれの製造法についてご説明しましょう。まずは鋳造法からです。

 

 

【鋳造】

◎鋳造法とは

溶けた金属を型(鋳型)に流し込み、冷やし固めたところで取り出す、という製造法です。その工程から「ロストワックス法」とも呼ばれます。

現在流通しているジュエリー製品のほとんどは、この鋳造法で作られています。

 

◎鋳造法のプロセス

1)原型からロウの型を作る

まず、すべての基礎になる指輪をひとつ作ります。それを型にとって同じものをいくつも作り、さらにそれらをつなぎ合わせて「指輪の樹」のような形をした、ロウ(ワックス)でできた「ツリー」と呼ばれる原型を作ります。

 

2)ロウ型から鋳型(いがた)を作る

ロウ型を「るつぼ」に入れ、さらに石膏を流し込んで、型取りします。

 

3)ロウの除去

石膏が固まったら、るつぼごと熱を加えて、中のロウ型を溶かし、流しとります。するとロウ型の形をそのまま写し取った、石膏の型が残ります。

 

4)鋳造

石膏の型にプラチナなどの溶けた金属を流し込みます。完全に冷えて固まったところで石膏を割り、鋳造されたツリーを取り出します。

 

5)仕上げ加工

一つ一つの指輪を樹から切り離し、バリや突起を削り取り、研磨して仕上げます。

 

◎鋳造法の長所

すべての型の元になる「原型」をひとつ作っておけば、いくらでも同じものが作れるため、大量生産に向いています。多くの指輪を短時間で作れますから、製品の価格を抑えることもできます。

また後述する鍛造法とは異なり、指輪に成形していく段階での地金の切削を最小限に抑えられますから、地金のロスが非常に少ない、というのもメリットです。

 

◎鋳造法の短所

製造の段階で「ハンマーで叩く」という工程が一度もなく、地金が鍛えられることがありません。 そのため金属の結晶の方向がバラバラで、しかも内部に空洞(ス)ができやすいため、強度はあまり高くありません。

 

 

最後の項目はちょっと判りにくいかもしれませんね。たとえて言えば、鋳造品はにぎり寿司のシャリ、あるいはおにぎりのようなものです。いずれも人の手でキュッと握ってあるためにその形を留めていますが、米粒同士の間には多くのすき間があり、そのため乱雑に扱うとご飯粒がぽろぽろとこぼれ落ちたり、形が崩れたりしてしまいます。

 

同じように、鋳造で作った指輪は内部に空洞ができてしまいやすく(しかも、それを外から確認することはできません)、そのため強度はあまり高くなく、衝撃によって変形することがあるのです。

 

一方、短時間で大量に作れるというのはメーカーとしてはありがたいことですし、大量生産することによって価格を抑えることもできます。

 

 

【鍛造法】

◎鍛造法とは

金属をハンマーで叩きながら成型していく製造法です。ひたすら叩き、圧力を加えることで内部にあるすき間を潰しながら、結晶を細かく、さらにその方向を整えることで強度を高めます。

機械のプレスによって行う「型鍛造」と、完全な職人の手作業による「自由鍛造」があります。

 

◎鍛造法のプロセス

型鍛造か自由鍛造かで、そのプロセスは大きくことなります。まずは型鍛造からご説明しましょう。

 

・型鍛造のプロセス

 

1)打ち抜き

まず、素材に何度も圧力を加え、板状に鍛造された金属板を、プレス機でドーナツ状に打ち抜きます。

 

2)成型鍛造

打ち抜いた素材を叩き、ドーナツの内側の円周を広げ外側の円周をすぼめるようにして、立体にしていきます。最終的にはサイズに合わせた円筒の形になるまで、加圧成形します。

 

3)調整

幅や厚みを均等に整え、バリを取り除くなどの仕上げをします。ここまでで指輪の原形ができあがります。通常の販売店の型鍛造は、ここまでで終了です。

 

4)職人によるオーダーメイド加工

ここからは職人の手で加工を施していく、TANZO独自のプロセスです。面取りをする、ラインを入れる、ダイヤモンドを配置するなどの加工のほか、つや消しや鎚目などの表面加工を施したり、ご希望のデザインを彫刻したり。あらゆるオーダーに対応します。これらの作業が終わったら、全体をきれいに研磨して完成です。

この方法は、指輪の形状そのものを凝ったものにするには向きません。ですがオーソドックスな形の指輪をご希望であれば、すべてを自由鍛造で作るよりも、高い強度の指輪を作ることができます。

 

 

・自由鍛造のプロセス

 

1)地金を作る

まず、素材になる金属棒に充分な熱を加えて、ハンマーで叩き伸ばして地金を作ります。ペアリングの場合は、1本の長い「共地金」を作り、それをそれぞれのサイズに合わせて2本に切り分けます。男女用それぞれの指輪の素材が、同じ地金から生まれる、ということです。

 

2)成形

地金をハンマーで叩いて鍛えながら広げてカーブをつけ、指輪状に整えていきます。同時にサイズや指輪の幅も調整していきます。

 

3)共付け・仕上げ

指輪状に整えた地金の両端に熱を加えて圧着接合(共付け)し、一本の輪にします。その後は熱を加えず、ハンマーで叩いて地金を鍛えながら、厚みや幅を均等に整えます。さらに内甲丸や彫刻、表面加工などの仕上げを行い、表面を磨き上げます。

 

◎鍛造法の長所

何度も圧力を加えることで金属内部のすき間がなくなり、また結晶の方向も揃うため、非常に強度が高くなります。

 

また型鍛造の場合は指輪の接合部がないために、指輪全体の強度をより高めることができますし、自由鍛造よりも若干早く作ることができます。

自由鍛造の場合はすべての工程が手作業になりますので、高い技術を持つ職人が作業すれば、繊細なデザインが可能です。

 

◎鍛造法の短所

鋳造法に比べて製造に時間がかかり、特に自由鍛造はその傾向が顕著ですから、量産には向きません。すべての作業において熟練の技術が必要で、その習得にも時間がかかります。そのため優れた職人が少ない、ということもあります。

 

◎鍛造法の長所

鍛造法の長所は、なんといってもその高い強度です。それはハンマーで繰り返し叩く……つまり圧力を加えることで生まれます。鋳造法で作った指輪がおにぎりや寿司のシャリだとしたなら、鍛造法で作る指輪はつき固めた餅のようなもの。結晶が微細化し、しかもすき間無く並ぶため、鋳造法とは比較にならないほどの強度を発揮してくれるのです。そうした特性から、刀鍛冶が作る日本刀やゴルフクラブ、重量に対して高い強度が求められる航空機のパーツ、最高クラスの自動車のホイールなどに使われてきました。

 

そうした違いを考えても、一生使い続ける指輪としてどちらが好ましいか、言うまでもありません。

 

ただ、同じ鍛造法の中でも「型鍛造」が良いのか「自由鍛造」が良いのかは、簡単に決めることができません。それは、お客様が何を求めているかによって違うからです。ひたすら強度を追求するならば型鍛造。強度とともに、自由度の高いデザイン性を求めているならば自由鍛造と、使い分けが必要でしょう。