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鍛接の技術

2018年1月4日鍛造製法

鍛接は圧接の一種類

溶接は、2つ以上の材料の接合部分に熱や圧力を加えて一体化させる接合方法で、融接、圧接、ろう接に分類することができます。溶接が接着と異なるのは、接合箇所が結晶レベルでの連続性をもつ点です。

古代より青銅器の接合や補修などには、「鋳掛け」とよばれる溶接方法が使われてきました。鋳掛けは、母材と母材の間に溶かした溶加材を流し込み、接合するという溶接方法です。

紀元前15世紀ごろ、小アジアで鉄が発明されると、「鍛接」という溶接法が生まれました。鍛接は、熱と圧力を加えることによって金属を接合する圧接法の中の一種類です。鉄は展延性に富んだ金属であるため、鍛えながら成形するという「鍛造」に適しており、鍛接の技術は鉄とともに世界中に伝えられました。日本では、紀元前3世紀ころより鉄器が見つかっています。

 

修復に重宝された鍛接の技術

中国地方でたたら製鉄が盛んになると、貴重だった鉄が一般にも普及するようになり、平安時代末期には、鉄製の農具が製造されるようになったことで、米の生産高も大きく飛躍しました。

さらに武士の台頭によって武器需要が進み、刀剣や鉄砲の発達とともに鉄の加工技術も向上。日本の農具や武器製造における鉄の加工法や鍛接方法の技術力は、東アジアでは群を抜いたものとなりました。鍛接・鋳掛けの技法は、壊れた鉄製品の修復に大いに役立つものとして、日本各地に広まっていきました。

 

鍛接剤

「鍛接」は、2つの金属材料を重ねて1000度くらいまで加熱し、鎚で打ったり圧力を加えたりして一体化させる溶接法ですが、2つの金属の接合面には、「鍛接剤」が必要となります。 2つの金属の間に空気が入り込んで酸化皮膜ができると、接合が難しくなるからです。

鍛接剤としては、「硼砂(ほうしゃ)」とよばれる 四ホウ酸ナトリウムの結晶を使用し、接合面の皮膜を取り除くと同時に新しい皮膜の発生を抑制し、鍛接しやすくします。「硼砂」は、人間が「冶金」をはじめた当初から融剤として使われてきました。「硼砂」の場合はそのまま単独で使われ、「硼酸」には鉄粉や酸化鉄を混ぜて使うなど、鍛冶職人によって鍛接剤の使用方法や量にはさまざまな手法があるようです

 

鍛接技術の利用

鍛接の主な例としては、日本の伝統的な刀鍛冶があります。刃物を製造する際の、鋼(はがね)を軟鉄に鍛接する技法は、「鋼付け」「割り込み」などとよばれ、刀鍛冶職人秘伝の技として受け継がれてきました。

また鉄鋼業における鍛接技術の応用としては、鍛接鋼管の製造法が古くから知られています。素材を加熱し管状に成形した後、純酸素を接合面に吹きつけて酸化スケールを吹き飛ばすと同時に、接合面の温度上昇を利用して圧接する方法です。この方法では圧接部の盛り上がりが少ないため、高速連続製管が可能で、高い生産性とコストを抑えることができます。

鍛接は、鋼管のほか、鎖などの製造にも使われています。